【アリストテレスの弁論術】人を動かすために必要なことは?

この記事はこんな悩みや疑問に答えます!
・部下が言うことを聞いてくれない
・いくら説明しても話がうまく伝わらない
(5年目の中堅社員Aさん)
よろしければ以下の音楽を流しながらご覧ください。
はじめに
アリストテレス曰く、人を動かすには以下の3つの要素がある。
① ロゴス(Logic):論理
② パトス(Passion):共感、情熱
③ エトス(Ethic):信頼
よくロジカルシンキングなどを学ぶと、上記の1→3の順番で論理から人を説得しようとします。
でも実際に人が動くのは3→1の順番で信頼からという話。
事例をもとに見てみましょう。
①論理→②共感→③信頼という組み立て方の場合
例えば商品の訪問販売において、商品の良さを論理的に、しかも情熱的に説明ができる営業さんがいたとします。
しかし、お客さん目線で考えてみますと、
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①論理
あなたの言うことは筋が通っている。
私に必要なこともわかった。
②共感、情熱
あなたもきっと本当にこの商品を良いと思っているのだろう。
きっとあなたの言う通り、この商品を買えば、毎日が豊かになるだろう。
③信頼
でも、私はあなたの会社の商品は買わないと決めたんだ。
なぜなら、以前にあなたではない営業さんに大変失礼なことをされたからだ。
貴方には関係のないことですまないが、お引き取りください。
—
どんなに凄腕(論理的かつ情熱的な説得)ができる人であっても、③でNGになるというケースありますよね。
商品販売だと、①だけで判断される(自分にとって利があるならそれはそれで良いとする)方もいらっしゃるかと思いますが、例えばこれが付き合ってくださいという話だったらどうでしょうか。
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①論理
(この人と付き合うと色々と楽しそうなことがあるのはわかったけど)
②共感、情熱
(すごく私のことを好きでいてくれているのもわかったけど)
③信頼
(う~ん、でもこの人、根が信用できないんだよね……どうせ今だけの感情なんでしょ)
ごめんなさい。
—
みたいなことは結構あるんじゃないかと思います。
③信頼→②共感→①論理という組み立て方の場合
では、逆の流れはどうでしょうか。
毎朝、新聞配達をしている学生のA君がいたとします。
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③信頼
(彼は毎朝、新聞配達をしている子だな、どうやら学費を自分で稼いでいるらしいな)
②共感、情熱
(彼なりに一生懸命頑張って話しているな、自分もこんな時があったな)
①論理
(うちに新聞は二種類もいらないんだけどな、何か力になってあげたいし、まあ日経新聞ならいいか)
オッケー、まずは三ヶ月だけ試しに購読してみるよ。
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この場合、買い手は論理的にはまったく成立しない構造で購買を判断しています。
が、このような人情噺が世の中にはたくさん存在します。
どういうこと?
論理が不要ということではなく、下記の3つは全て必要だけれども、
① ロゴス(Logic):論理
② パトス(Passion):共感、情熱
③ エトス(Ethic):信頼
実際に人が動くのは③→①の順番でまずは信頼構築からという話。
学校や会社の人間関係などにも当てはまります。
何を話すにも、まずは、相手との信頼関係が大事。
別の方程式で示すなら
コミュニケーションの成立=【相手との関係性】×【内容】
となるので、相手との関係性がゼロなら、内容がいくら良くても掛け算するとゼロです。
まとめ
信頼というのは築くのは難しく壊すのは容易と表現されますが、本当に一瞬で壊れてしまうものです。
常日頃から誠実な対応を心がけるというのは意識すべきことではありますが、仲が良い人ほど気が緩んでしまうこともあります。
もし相手との関係性にヒビが入るようなことがあった場合、オススメはすぐに顔を突き合わせて話をすることです。
信頼関係はともに過ごす時間と回数に比例して高まるものなので、裏を返せば相手と離れれば離れるほど修復が難しくなります。
営業ではこれらを技術的に教わるので作為的に行う人もいるのですが、本質的なことは相手のことを考え、自分の非を認め、向き合うことだと思います。
嫌われたと感じた相手とコミュニケーションをするのは勇気がいるものですが、そのような場面においては、論理(言い訳)から入るのではなく、まずは誠心誠意お詫びをすることが大切、という話でした。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。
当ブログでは他のページでも課題から逆引きしたり、要所でのハウツーを今後も拡充していきたいと考えておりますので、何卒よろしくお願いいたします。
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